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いなかの猫の天邪鬼部屋

第7話

OnAir~シーズン3・第6話~


# 夜、物静かな通り

(サンウ、運転する。通った事がない通り。前方におかっぱ頭の女が歩いて行く後姿。緊張するサンウ。女が少しずつ近付いて振り返る。微笑むソウン。驚いてハンドルを切り損なうサンウ。ソウンの顔にのしかかる車...

"(ハッとする)"(夢)


#夜、ベッドの上

(パッと起きるサンウ。全身に流れる汗。呆然とするサンウ、やつれて青白い...)


#4月末、ギョンミンとヨンウンのアパート

ヨンウン : (電話中) 出て来いって?

ヘギョン : 動くのは大変?私が行こうか?

ヨンウン : 大丈夫。行くわ。...事務室に行けばいいの?


#ドリームハウス代表室

(ヨンウンとヘギョン、ソファ-に座っている。)

ヨンウン : (ヘギョンを見る) 何なの?

ヘギョン : これを一度読んでみて。...(厚い原稿を渡す) 脚色してくれない?

ヨンウン : (目を細める) 何を...しろって?

ヘギョン : (にっこりと) 怒るのも分かるわ。イヤならしなくていいから。読むだけでも読んでみて。

ヨンウン : (睨む) 分かってるならどうしてさせようとするのよ。(原稿を手に取り、大まかに眺めて) 誰のものなの?

ヘギョン : (手を組んで黙って見る) ...

ヨンウン : (見る) ねえ、誰のものなのよ。

ヘギョン : 全部読んだら話すわ。

ヨンウン : (口を尖らせて) 読んだら、誰が書いたかを私が気にずると思う?

ヘギョン : (顎で指す) 読んでみて。1時間もあれば読めるから。読んで、話はそれから。

ヨンウン : (ため息をつく) 私が脚色だなんて....

(ヨンウン、ソファ-にもたれて原稿を読む。ヘギョン、クッションを持って来る。ヨンウン、クッションを腰の後ろに差し、黙って原稿を見る。)

(1時間余後)

ヨンウン : (原稿を閉じて) さあ、誰が書いたのか言って。

ヘギョン : (見る) ...どうしようかしら?

ヨンウン : (口を尖らせ視線を飛ばす) ...いいでしょ?(見る) 誰が書いたの?

ヘギョン : (黙って見る)......イ・ギョンミン。

ヨンウン : (聞き誤ったかと思い、目を細める) ..誰?

ヘギョン : イ・ギョンミン。イ・ギョンミン監督。SBCイ・ギョンミン監督様。

ヨンウン : (驚いて) ....?(原稿に目をやり)これ...あの人が.. 書いたって..?

へギョン : そう。あなたに頼もうとするのが分かるでしょう?

ヨンウン : (言葉を続ける事が出来ない).... いつ受け取ったの?

ヘギョン : (見る)....あなたと結婚する前に。これを売って結婚すると。.....学生の時書いたそうだけど...

ヨンウン : (考えて、ジーンとする) .....何て言ってたの...?

ヘギョン : お金が必要だって。...映画のシナリオとして買ってくれる所がないかと聞かれて.... 私が買ったの。

ヨンウン : (見る) ...いくら払ったの?

ヘギョン : (にっこりと) 少なくはないわ。イ監督にプライドを少し売りなさいと言って。あまり多く払ったらプライドが傷付く事だろうから、自分の女のために少しだけ売りなさいと....

ヨンウン : (目が赤くなる) ...そうだったの...

ヘギョン : ...やってくれる?

ヨンウン : (頭を下げる。涙を溜める) やらなくちゃね....


#PD室

(机に座ったギョンミン、資料整理する。電話が鳴る。発信者を確認する。)

ギョンミン : はい、イ・ギョンミンです。

サンウ : 私です。チン・サンウ...

ギョンミン : (にっこりと) はい、分かります。何でしょうか?

サンウ : ...時間があったら、ゲームをしませんか?

ギョンミン : (時間を見る)...今ですか?


#午後遅く、スカッシュ場

(ゲームに沒頭するサンウ。ギョンミン、忙しく球を追い掛ける。固い表情のサンウ、球だけ見る。ギョンミン、倒れる。)

ギョンミン : (床に横になり、苦しそうに息をする) ハア..ハア...

サンウ : (ギョンミンを見下ろす。座り込んで息をする)下ハア..

ギョンミン : (サンウを見る。息を吐き出して) 俺に仇を討つこと.....ありますか?......私が何を...したんですか?.....言って下さい。

サンウ : (ギョンミンを見て苦笑し、息を吐き出す) ハア...そんな事ありません。...ただ..(笑う) イ監督は甘いから俺の餌食になるんです。

ギョンミン : (呆れた目) 世の中で俺を甘く見る二人の中の一人ですね。...いや..もう一人いるな...

サンウ : 誰ですか?

ギョンミン : (天井を見て、虚脱して) いるんですよ。そんなヤツが...


#剣道場

(チュニ、防具を身に付ける。頭にタオルを掛ける。頭に保護台を被り、物凄い声で "ヤ~~~~!" と気合いを入れながら駆けて来る。)


#スカッシュ場

ギョンミン : (苦々しげに笑う)....

サンウ : (ギョンミンを見て、壁の角の方を見る。息をする音がだんだん無くなる。空虚な目つき).......


#セアのアパート

(暗い居間。DVDでイングリッシュペーシャントを見るセア。見て考え込む。)

(ギョンミンとヨンウンの姿を思い浮かべる。サンウの言葉が耳でくるくる回る..)

"惨めになるのも忘れる方法の一つです..."

(やや苦い微笑みを作る...)


#屋内屋台

(サンウとギョンミン、焼酎の杯を置いて対座している。)

サンウ : .... いいですね...

ギョンミン : (見る) ....何がですか?

サンウ : 誰かとこんなふうに座っているという事です...(見てにっこりと) こんなに.. 楽なものなんですね....

ギョンミン : (じっと見る) .....友達のいなさは同じですね..(にっこりと)

サンウ : 私はともかくイ監督はどうして友達がいないんですか?

ギョンミン : そうですね...こんな仕事していながら近しくなるのがどれだけ大変なのか.. 分かるじゃないですか。自分の性格が目立つせいもあったし...

サンウ : 仕事で付き合う人は皆そうですよ。...でもそれだけでもありません。

ギョンミン : (見る)...

サンウ : キジュンとは仕事のせいで駄目になったけど...イ監督とは仕事のために分かるようになった間柄だから...(見てにっこりと)

ギョンミン : (にやりと笑う) 俺たちは仕事のために近しくなったのではないでしょう?

サンウ : (杯を持って、見る) そうですね...

ギョンミン : (サンウ見る).... 何か ..あったんですか?

サンウ : (見て、にっこりと) いいえ。...(息を吸ってシニカルに) 年を取って行くんです....

ギョンミン : (眉間に皺を寄せる) 今年何歳ですか?年上の方に申し訳ないですが...

サンウ : (にやりと) 四十です。

ギョンミン : そうですか。結婚しないとならないですね。

サンウ : (笑う) 結婚ですか...? (杯を見て苦々しげに笑う)....

ギョンミン : (黙って見る).....


#ギョンミンとヨンウンのアパート、部屋の中

(ギョンミン、ベッドに倒れる。ヨンウン、ギョンミンの服を脱がせる。)

ヨンウン : どこでこんなに飲んだの?

ギョンミン : うん..チン代表と.....そんなに飲んではいないんだけど...午後に無理をしたら..

ヨンウン : 何をしたの?

ギョンミン : スカッシュ...チン代表と...

ヨンウン : スカッシュ?(睨む) 急にどうして?

ギョンミン : (見る) 俺が誘ったんじゃないよ。チン代表が誘ったから..

ヨンウン : チン代表が?どうして?

ギョンミン : 分からない.....(声がだんだん無くなる)...風呂に入らないとならないけど...眠い....

ヨンウン : 入って来てよ。そのまま寝ちゃイヤよ。

ギョンミン : うん....分かってるよ....(息を深くして、静かになる)

(ヨンウン、眠ったギョンミンを見降ろしてため息をつきながら立ち上がる。しばらくして、タオルでギョンミンを拭いてやるヨンウン。眠ったギョンミンの顔を指で撫でるヨンウン。)

ヨンウン : (ギョンミンの顔を眺める).... (頬にキスしてささやく) ...愛してる...


#サンウ事務室

(窓辺に座ったサンウ、窓の外を眺める。ソウンのビデオが映っているモニター。画面終わって雑音だけが聞こえる。窓の外だけ見るサンウ...)





(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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